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2024/06/06 18:00
MKLのキャッチコピー、EASY GOIN' VIVES
その「VIVES」とはVIBES(波動)とLIVES(生きる)を組み合わせた意味を持つ
ラテン語の「生きよう」という意味。(読みはバイブスとそのまま呼んでいます)
自由に、気軽に、生きよう。そう願う想い。
その想いとおなじ、期間限定で発売されている、MKLの夏の香り《EASY GOIN' VIVES》
このストーリーは、香りに寄せられた、ある女性の物語です。
・・・・・・・
あの夏の香り〈1〉

朝、大切にしていたネックレスが切れて、嫌な予感がすると思っていたら、
案の定、その日はサイテーサイアクな一日になった。
夜の8時、いつもよりずっと早く帰れたというのに、アパートの階段を上って玄関を開けて
家に入ったところで梨花は力尽きた。
体が重たくてもうこれ以上足を動かせる気がしない。
気力を振り絞ってなんとかドアを閉めて鍵はかけたが、
サンダルを脱いで部屋に上がる力が出ない。
仕方なくその場に腰を下ろしたら、そこから立ち上がれなくなってしまった。
泣いたり叫んだりできれば少しは軽くなりそうな気もしたが、涙は出なかったし、
大声を出す元気もなかった。
疲れている。
ふぅ、と大きく息を吐いて梨花は目を閉じた。
何を考えるわけでもなく、そのままでしばらくいた。
次に目を開けた時、すべては夢だったとなればいいのに。
子供みたいなことを考えながら目を開けてみたが、
もちろん目に見える世界は何も変わっていなくて、梨花の体も重たいままだった。
力なく辺りを見渡すと、下駄箱の上に置きっぱなしにしていたルームスプレーが目に入った。
青い涼しげなラベルが貼られた部屋用の芳香スプレー。
麻里からもらったのは夏になる前だったというのに、
あれから2ヶ月、一度も使うことはなかった。
梨花と麻里は小学校6年生の時に同じクラスになって以来の親友だ。
中学校では一緒のクラスになることはなく、高校も大学も別々だったけれど、
妙に馬が合って、一緒に映画を見たり、占いに行ったり、合コンに参加したり、
梨花の青春の思い出にはいつも隣に麻里がいる。
短大を出て保育士になった麻里は、学生時代から付き合っていた人と早々に結婚して退職し、
立て続けに二人の女の子を産んだ。
梨花は四年生大学に進学して、その後、第一志望だった広告代理店に就職した。
互いに学生でなくなって10年近く、二人は変わらずに連絡を取り合っていたけれど、
会うことは滅多になくなった。
単純に空いている時間帯が合わなくなったこともあるが、
子育てに勤しむ麻里と、仕事に邁進する梨花では
興味関心の対象が変わってきてしまったことも大きかった。
麻里は、「梨花ちゃんは私と全然違う世界にいるから、話を聞くのは楽しい」と言うが、
梨花の方はママ友がどうだとか、学校がどうだとか、
全然違う世界の話を楽しく聞くことはできず、麻里と意識的に距離を置くようになっていた。
2ヶ月前の6月、同級生の結婚式で、1年半ぶりに、麻里に会った。
麻里は梨花を見つけると子犬のように目を輝かせて手を振り、
隣の席に座った梨花に「これ、忘れないうちに。もらって」と田舎のお節介なおばちゃんのような勢いでルームスプレーの入った袋を押しつけてきた。
「すごくいい香りなの。これを嗅いだ時、私、梨花ちゃんのことを思い出して、次に会う機会があったら渡したいと思って余分に買っておいたのよ。次に会うのがいつになるかわからないけど、もし渡す機会がないなら私が使うからいいやって。今日、渡せてよかった」
そこまで一気に喋ると、「今日はミキの結婚式だから、お祝いが優先ね。今日は子どもも旦那もいないから、私、浮かれちゃって喋りたいことがたくさんあるけど、花嫁そっちのけにしないようにしないと」と麻里はいたずら娘のように笑って、それきり大人しくなってしまった。
私はあの時、ちゃんと麻里に「ありがとう」と言ったっけ?
ずっと横にいたけど、どんな会話をしたんだっけ?
たった2ヶ月前のことなのに、梨花には、思い出せなかった。
あの夏の香り〈2〉に続く
Thank you
Photo&Copyright by Satoko Fay
https://www.instagram.com/satokofay/
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